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MY STORY

「私のこと、奄美のこと」

 

私が初めて奄美大島にやってきたのは

2017年のゴールデンウィークが

始まる前のことです。

 

18年におよんだアメリカでの生活に

区切りをつけて日本に帰国してから

1年と少し経ったころのことでした。

 

音楽も、仕事も、恋人ももたず

これから何のために、誰のために

生きていくのだろう、

なんてぼんやり考えながら、

予定の決まっていない

3週間ほどの旅が始まりました。

 

名瀬の末広町の宿に泊り

夏に向けて勢いを増す

緑の木々を眺めながら

たくさんドライブをしました。

 

初めて食べるあおさの天ぷらや

鮮やかな海の色に感動したり

ディ!10周年のイベントを観に

文化センターへ出かけたり。

ここは色々な音楽が豊かだな〜 

みんなごちゃ混ぜで仲良しな

ところだな〜と思いました。

そうして3週間が過ぎたころ、

古仁屋の宿泊先でシャワーを

浴びているとき

ふと、新しい歌のフレーズを

口ずさんでいました。

 

そして、旅が終わるその日

古仁屋から奄美空港へ運転する

道ながらに、一曲分のメロディと

言葉が沸いてきました。

 

もしかすると、ここに住んでも

いいのかなと思いました。

 

最後のレコーディングをニューヨークで

行ったのは、2010年の秋。

 

それから今までに辿った道は

とてもでこぼこなものでした。

まあ、今でも十分でこぼこですが 笑

自分の中から完全に音楽がなくなって

しまうことが数回以上あり

その度に呆然としました。

 

健康を害して帰国をし、

回復をしてやりたい事が湧いてきても

準備不足で大きく転んでしまったことも

自分の意図していないところで

人との距離が開いてしまったことも

ありました。

そういうことを経て、今こうして

美しい自然を目の当たりにしながら

暮らしていられること。

音楽で自分の気持ちを表現したいと

​思えること。

 

それにとても感謝していて、

奄美にまた命をもらった気がしています。

少しくらいつらいことがあっても

なんとかやっていける様な気がしています。

 

「奄美の美しさと優しさにインスパイア

されて生まれた歌を、奄美大島で録音したい。」

 

そんな思いを、まずは以前からご縁のあった

音楽家の藤本一馬さんに伝えました。

 

藤本さんは、自然の色、形、温度、

スピード感といったものを多くの楽曲

にし、とてつもなく美しい音で表現

されている演奏家です。

 

そして、藤本さんに録音やCD制作の

知恵をお借りして、録音に必要な

要素を確認した上で、

それが島で揃えられるのかどうかを

アーマイナー社の麓さんに伺いに

行きました。

う〜ん、どうだろうね〜

と頭を抱えながら

「できることは協力するよ!」

という力強いお言葉はいただいたものの

もしかして無理かもしれない、と

思いながらも設備のある場所を探した結果、

龍郷町のりゅうゆう館であれば

楽器がステージ、私が母子鑑賞室に

入ることで、録音の敢行が可能!

となりました。

同時にお声がけしたのが、ギタリストの

渥美幸裕さん。今回取り組もうとしている

民謡やわらべ歌のアレンジャーとして、

古典邦楽をアップデートする活動をしている

渥美さんのアプローチが非常にマッチする

と思います。 

長年ギタリストとの縁が深い私としては、

ツインギターの世界観がとても楽しみです。

 

さらに、パーカッションの仙道さおりさん。

音遊びの天才の仙道さんと私は

人には説明しづらい心の共通項があって

2015年に演奏でご一緒してから

ずっと交流をもっていました。

 

そして、音響エンジニアには、

名古屋を中心にお仕事をされている

高崎優季さん。

昨年独立されたばかりの彼に、

本当にダメもとのつもりでお声がけを

してみたらなんと!

スケジュール的には可能で

私の予算内でまかなって

いただけるとのお返事が!

​(機材はほぼ名古屋から持ち込みです)

初めてご一緒したときから

絶大な信頼を寄せる高崎さんが

いらっしゃったら

テクニカル面の諸々に弱い私も

怖いものなしなのです。

 

メンバーが固まったところで

「キャパ600人のりゅうゆう館の

ホールの母子鑑賞室・・・

めちゃくちゃ長いコードと双眼鏡か・・・

正直予算もすこし苦しい・・・」

と再度麓さんにお話をしたところ

セントラル楽器さんのスタジオを

借りられないか聞いてみよう!

とおっしゃっていただき、待つこと数日。

今はディ!にいらっしゃる元社員の方の

ご尽力もあって、特別にお貸しいただける

ことに!

名瀬の町の中心でたくさんの島唄の

音源を生み出してきたスタジオで

録音をさせていただけることは、

歌い手としてとても感慨深いことです。

 

色々な要素が固まり、一旦ほっとしながら、

どうしてももう一つだけしたかったこと。

 

それは、ライブです。

素晴らしいメンバーが島に訪れるこの機会に

新しい音楽を、奄美の人たちに

一番に届けたい。

 

アルバムが完成してから、ではなく、

その過程から、共有したい。

 

そんな強い思いで、

録音開始の前日に、ASIVIでの

ライブを決めました。

「私のこと、奄美のこと」

というライブのタイトルは

私がニューヨークから奄美に

移ってくる課程で感じたこと、

理解をしたこと、

いま思っていることを

辿る時間にしたいと思い決めました。

 

それは、私という個人の私的な

ストーリーかも知れませんが、

奄美に暮らす人達と

分かち合える部分も多いのでは? 

と思っています。

こだわりぬいた表現で演奏する

3人の音楽家の極上の音。

そして、あるIターンの唄を、

ぜひ、聞きにいらしてください。

お待ちしております!

 

ミヤタトモコ

 

 

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